新茶、初鰹、こいのぼり、、、この季節の風物詩につらなる一つとして「あやめ」の花があります。いにしえの時代にはその開花で人々は梅雨の到来を知り、農耕の指標としていました。また邪気を祓うものとされ、節句に菖蒲湯に用いられているのは「菖蒲」。
花の咲く「あやめ」とはまた別の種類ですが、いずれの「あやめ」もまっすぐ伸びやかに天を指す姿、みずみずしく強さと儚さをあわせ持った生命力溢れる姿は、凛とした素敵な女性のようだと私はいつも感じます。
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「あやめ」の花咲く季節、人々は茶会を開いたり、染物を作ったり美しい紫色を愉しんでいたようです。紫はもともとムラサキソウという草の根を染料にしたことから、のちに染色された色も紫と呼ばれるようになったと言われています。古来、ムラサキソウの栽培が困難であったことから貴重なものとされ、高位を表す色となりました。 【枕草子】の冒頭、「少し明りてむらさきだちたる雲の細くたなびきたる」という一文は、紫色の雲という意味と群がって咲く(むらさき)花のようなという二つの意味があるそうです。 あやめの花言葉は、優しさ、信じる心、良き便りと記されています。 「いずれアヤメか、カキツバタ」という言葉がありますが、どちらも美しく似ていて迷ってしまうことを意味していますが、「太平記」にはアヤメにまつわるこの言葉に関連する恋の話があります。 ある日、源三位頼政公は「アヤメ」という美しい女官に恋をしました。天皇が頼政公を試すために美しい女性たちを並べて遠くにいる「アヤメ」を見つけられるかどうか試したところ、頼政公は大きな声で「アヤメ」の花の歌を詠み、アヤメが頬を赤く染めたので愛する彼女を見つけることができた・・・というお話です。 |
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現在、この国で心あたたまるニュースが影をひそめ、心のない情報が交錯する毎日ですが、伸びやかで凛とした美しさを持つ「菖蒲」の花が咲き誇るこの季節・・・人間本来の素晴らしさや、心のある生き方を静かに語りかけてくれているように思えてなりません。
古都・奈良の初夏は力強い新緑の芽吹きを五感をもって感じていただけることでしょう。
柳生の里と呼ばれる地域の「柳生花しょうぶ園」は460品種、80万本の花菖蒲をご覧いただける日本でも希少な名所です。草木萌えるこの季節だけしか体感いただけない奈良へ是非とも足をお運びくださいませ。
皆さまのお越しを心よりお待ち申し上げます。
2012年 新緑
ホテルアジール・奈良
支配人 中 弥生

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